公益社団法人 公共嘱託登記土地家屋調査士協会 【調査士協会とは】

調査士協会とは

公益社団法人埼玉公共嘱託登記土地家屋調査士協会は、土地家屋調査士制度の一環として、土地家屋調査士等がその専門的能力を結合して官公署等による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とする法人組織として昭和61年に設立されました。

土地家屋調査士の業務は、個人に与えられた資格により行われるもので、官公署等の行う公共事業に伴う、大規模・大量の業務を処理する機構とはなっておりません。

そこで、当協会の設立の背景として当時、官公署等から登記所に提出される嘱託事件について、適性を欠く内容のものが多く、この是正を図るために、昭和50年代後半から専門家としての土地家屋調査士を経由して嘱託することが望まれて参りました。しかし土地家屋調査士は全て個人経営の形態であり、官公署等の委託先としてなかなか認知されるに至らず、法務省としてもこの構想の具体化に向け法改正を含めた検討を行って参りました。
(衆議院・参議院法務委員会議事録102回会議録)

この結果、官公署等が安心して委託しやすい法人組織の団体を作り、官公署等がこの団体に委託することにより嘱託登記事件の適正かつ迅速処理が図れるとの期待から、土地家屋調査士法を改正して(土地家屋調査士法62条)当協会の設立が法制化されることとなりました。。

設立以来当協会は、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資することにより、不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的として活動しております。

登録業務

土地家屋調査士業務法務省民三82号 設立昭和61年1月7日
測量業務平成14年2月7日  登録第(1)−27942号

一般競争入札参加資格申請済官公署

厚生労働省・日本郵政公社・都市再生機構・鉄道建設・運輸施設整備支援機構
埼玉県
県内全市町村

事業内容

  1. 公共嘱託登記に係る受託(法定)
  2. 官公署等からの依頼を受けて、不動産の表示に関する登記について、必要な土地又は家屋に関する調査又は測量、登記の申請手続について法務局に提出する書類又は電磁的記録の作成、登記の申請手続の代理を行う。
    具体的な業務処理の流れは、以下のとおり。
    1. 事前調査:関係官公署及び民有の資料図書等の調査・分析
    2. 現地調査:現地踏査・官民・民民境界立会協議・確認
    3. 測量:基準点測量・地積測量・建物測量・分割測量・復元測量等
    4. 成果品作成・検定:計算製図・建物図面・地積測量図・不動産調査報告書・点検照査
    5. 登記嘱託・申請書類作成:添付書類・付属書類
    6. 登記申請・登記済受領:登記所並びに現地に出向協議・登記完了
    7. 再検査・成果品の納入:納入図書等の最終検査
  3. 地図整備の促進等に係る受託
  4. 官公署等からの依頼を受けて、地図整備事業や地籍調査事業に係る調査、測量等を行う事業であり、成果として登記所に備え付けられている公図は、国土の利用、整備、保全に必須の基礎資料である。このうち、主要な作業工程である一筆地調査は、毎筆ごとの土地について、所有者の立会を求めて、その所有者、所在、地番、地目、境界及び地積を調べる作業であり、随時必要に応じて地権者間の権利の調整も行い、限られた作業期間内に数千点から一万点にも及ぶ筆界点の立会協議・確認を行う。
  5. 登記基準点設置
  6. 当協会が測量を実施する際、ほとんどの地域において、近傍に、公共測量の基準となる基本三角点等が配置されていない。そこで、当協会では、基本三角点等を補完するため、基本三角点等に準ずる精度を有する登記基準点(土地の表示に関する測量の基準となる点)を当協会の責任と負担において平成18年度から自主的に設置し、その成果(座標値)を当協会のWEBGIS(インターネット上で提供される地理情報システム)に記録し、WEB上で広く国民に公開を行っている。
    1. 広く一般に行われる(官民界、民民界全て)不動産の登記における位置の特定に費やされる時間及び経費が削減される。
    2. 成果は国家座標値に準ずることから、他の登記成果との互換性があり各種公共事業による登記事務が円滑化される。
    3. 水平位置精度が高く互換性のある登記成果が蓄積され、一度確定した境界点は境界杭などの標識が防湿しても1cm程度の精度で復元することができる。また、災害等の境界標亡失時の復元作業等が迅速化される。
    設置の経緯:都市部の地籍調査の進捗が特に遅れている状況であります。都市部では土地の権利関係が複雑であり、調査には多くの労力と時間がかかります。そこで都市部における地籍整備の促進を図ることを目的として、平成16〜18年度に国により都市再生街区基本調査が行われました。特に街区基準点については、地籍調査だけではなく、民間開発事業や不動産登記の際の測量にも活用することができ、互換性のある筆界情報が蓄積され地籍整備の一助となり、また、各種事業をする際に省力化が図られることとなります。
    しかし、街区基準点の永久標識は約200m間隔で設置されているため、一筆地測量を行うには、さらに細かく基準点を設置し測量を行わなければなりません。
    管理方法:当協会のWEBGISサーバーで全点管理し、登記基準点精度確保のため、登記基準点測量の経験豊富な社員を揃える企画部において作業規定通り実施されるように指導・確認・検査を実施している。
    指導・確認・検査の内容:新点・既知点との距離・配置の確認、基準点標識の設置指導・確認、計算結果による誤差の制限内であることの検査、成果表・標識写真・点の記・精度管理表の検査。
  7. 境界標埋設
  8. 通常の公共嘱託事業等では、特別に作業仕様書で境界標埋設の指示がない時は、一般的に境界標の埋設はしない。しかし、当協会では、事業目的である「不動産に係る国民の権利の明確化」を具現化するため、自主的に、境界標設置について土地の所有者などの理解を得た上で、原則として全ての境界に永続性のある境界標識(アルミプレート・プラスティック杭、金属鋲など)を無償で埋設している。
    これにより、
    1. 相隣関係の紛争が予防される。
    2. 不動産取引において、境界確認(現地特定)等に要する時間及び経済的負担が大きく縮減される。
  9. 地図の変遷及び境界や公共嘱託登記に関する知識並びに関連するその他の知識の普及啓発事業(自主事業)
  10. 境界の設置・管理に関しては、地域独特の慣習に配慮する必要があるほか、公共嘱託登記に際しては、土地区画整理登記令をはじめとする特例的登記令の専門的知識が必要となる。
    そこで、官公署等の担当職員や一般の方を対象にした研修会を年数回開催し、社員を講師として派遣するなどして、地図の変遷及び境界や公共嘱託登記に関する知識、権利に関する登記手続きを含めた不動産登記法全般、最先端の測量機器や測量方法、地方自治・防災・地震などタイムリーなその他の知識を含め、当協会が費用を全額負担し、入場無料により平成14年度から普及啓発活動を行っている。
    具体的には、業務研修会などとして、官公署職員などに案内をして、役所の担当者、学識経験者、大学教授、法務局職員、当協会役員・社員を講師とした講演や説明会を実施してきました。「境界・地図・不動産登記−明治時代からの思考の構築を私たちは未来に生かせるのか−」、「公図・登記業務から始まるGIS−未来の地図ここから始まる−」、「未来をえがく地籍と登記−地図のさらなる可能性を目指して−」、「災害からの都市再生−阪神淡路の震災復興に学ぶ−」、「改正登記法の現状、土地境界調査測量・登記業務の展望について」といったテーマのもと、不動産の権利の明確化、不動産登記にかかわる地図の必要性、防災対策と地図のあり方などについて広く一般に啓発を行っております。